高速そば

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工藤:(ふぅ...。もうこんな時間かぁ...。家帰って晩ご飯今から作んのめんどくせぇし、いつもの店でも行くか。)
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ガラガラガラ(扉を開ける)
店主:「はい、いらっしゃい、毎度。今日は何にしましょ」
工藤:「あ、かけうどん1つ、お願いします」
店主:「はい、かけいっちょね」

工藤:(はぁ...今日は俺1人かぁ、まぁこの時間だし当然だわな)
テレビからサッカーの再放送が聞こえる「小川右に流す。大森につなぐ」
工藤:(おっ、今日ヴィッセル対ガンバかぁ)
セルフサービスの水を入れ、年季が入ったテレビの試合をボーッと見つめる
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店主:「はい、お待たせ、かけいっちょねぇ」
工藤:「はい、いただきます」
箸を割る
工藤:「あれ、すいません、僕かけうどん頼んだんですけど、きつねとわかめのってますよ」
店主:「うん、サービス」
工藤:「え?いいんですか」
店主:「いいの、いいの、若いのは食べて力つけんと」
工藤:「あ、ありがとうございます。(嬉しいなぁ)....そ、そしたらいただきます」
店主:「はいよ。他のお客さんには内緒でね。って今工藤さんしかおれへんけど。ははは」
工藤:「っはは」(え?ばぁちゃん今俺の名前呼んだ?)数秒間止まり、しばらく考える

店主:「ほら、冷めんうちに 早よ食べ」
工藤:「は、はい」
(そりゃ毎週来てたら俺も常連か。でもばあちゃんに会話って会話したの...、俺これが初めてのはず...だよな?)
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腹が減ったので箸が進み、残すは出汁を飲み干すたのみ

工藤:「...。あ、あのぉ、すいません」
店主:「うん?どないした?」
工藤:「いえ、全然、そんな大したあれじゃないんですけど。
いやさっき、僕の名前を呼んた気がして。どうしてご存知なのかなって...」
店主:「あぁそんなこと?
あれいつだったかなぁ、たぶんあんたがうちによう来るようになってからかいな。
一回疲れ切った真っ青な顔であんたそこののれんくぐってきたことあったろ。覚えとる?確かあん時はそっち側で食べて行ったかいなぁ。
あの日、あんた私に顔も見んと食券だけ渡して、またすぐ外出て会社か誰かの電話に出たやろ。こんなこっちはものの1分で準備できるちゅうのに、何をそんな急いで電話なんてと思いよったんよ。でもあんた その時えらい電話で誰かに謝っとってな。あぁ暗い顔してるんはそれが原因なんかってすぐに分かったで。ほんでそん時電話先の相手があんたの名前聞いたんか、工藤ですってあんた言いよったろ。
まぁこっちは気の毒に何をしたんやろうと思いながら 私も伝票つけとったからな。それで片隅に 工藤ってメモしたんよ。あんた何回も来てくれとるし」

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