2件の着信
仕事終わり、ケータイを開くと2件の着信履歴。
19:10
20:20
誰だろう。折り返しのため電話番号を押す。
すると "中原さん"の登録名が。
中原さんというと神戸で大変お世話になった80歳を超えた男性である。東京へ移りしばらく連絡もできていなかったが、どうしたのだろう。
それも急に2度の着信。
まさか奥さんからだろうか...。
歳も歳なだけに、嫌な気もする...。 そんな思いもありながら電話をかける。
出ない...。
もう一度掛け直し、10回ほど鳴った頃だろうか、受話器が取られ「こんばんは。雄太くんですか?」声を聞いてほっとした、中原さん本人だ。
中原さんとの出会いは僕たち家族が引っ越した直後のこと。新しい土地には昔ながらの商店街があり、そこを歩いていたハイカラ帽子がよく似合う男性に声をかけた。それから付き合いは家族ぐるみで続き、一緒に食事へ連れて行っていただいたり、商店街をお散歩したり、家をお邪魔することも1度や2度ではなかった。最初の出会いから早いもので3年が経つ。 「ごめん、ごめん、指が当たって間違いでかけてしもたんやけどね。でも間違ってかけたにしても、かけ直してくれたら嬉しいなぁってワクワクもしてたところやねん。今、僕はお風呂もあがってね、さ〜ゆっくりし始めよかなってところなんよ。雄太くんは最近どないですか?いやぁ、それにしてもその笑い声聞いたら思い出すなぁ。嬉しいね〜。」
と、いつもの喋り口調に懐かしい想いと、元気そうで胸をなでおろした。
聞けば、出会った時からお話下さっていた自書伝が90%完成し、2月には公開できそうとの報告だった。そこから10分近く話し、最後には中原さんが「愛妻」と呼ぶ奥様とも話すことができた。
久々の電話。なんとも嬉しく 優しくて、あたたかい気持ちが湧いてくる。電話の途中、最近になり病が悪化しているとの報告も受けたが声を聞く限りとても元気だ。
今年の正月は神戸へ帰ろうかどうしようかと考えてもいたが、中原さんにも再会したく帰ることを決めた。また写真を撮る楽しみが一つ増えた。
(写真は3年前:水道筋商店街にて)