「田舎に置いとくのもったいないから、東京に来ないか」
いーや あれは嬉しかったね。人生の七不思議の中の一つに入るっていうくらい。もう田舎にへっこんじゃったわけですから。元々生まれは〇〇のほんとにど田舎ですよ。高校も行かずで。ね、女房と2人で喫茶店して、こじんまり暮らしてたわけですよ。そんな人間にね「田舎に置いとくのもったいないから、東京に来ないか」って言ってくれたんですから。
なんつったってね、田舎にいると仕事がないですからね。だからもう単身赴任覚悟でね、それからずっと(東京)ですね。だから関東へ来てから結局金儲けしたかなーという気がしますね。あれは42歳でしたよ。だけどあのー、田舎からこっち出てきて何百万と稼げるっていうのは「どういうことだ?」って思いましたね。
それで〇〇(大手電機メーカー)で定年まで働いて、そっからまた〇〇へ帰ってのんびり暮らしてたんだけどね、でもこれも不思議なことにアルバイトやってたらまぁ真面目にやってたからでしょうね、免許を取らせてくれたんですよ。〇〇2級っていうね、なかなかこれ取れない免許なんですけどね。でその免許持ってると珍しいからみんな仕事くれるでしょ。飯食っていけるんですよ。だからまたこっち出てきて今までですね。
今もめちゃめちゃ働いてますよ。疲れてます。でもね、それをどうクリアしてるかって言うと、やっぱり昔の16歳の頃に培ったものがあるわけですよ。あの当時ろくな金も貰わないでね。サービス残業させられて、こっぴどく怒られ、しごきあげられてね。その時代を思い出せばこんな仕事で金もらっていいのかって思うほどですよ。当時は電気工事やっても一日に400円でしたから。一ヶ月休みなしで働いても1万2,000円にしかなんなかったんだから。そっから飯代5,000円引かれて、もう生活費が7,000円とかですよ。だからその当時を思えばね、幾つになっても今仕事をしない手はないだろうってね、元気で働けるならそれが素晴らしいんじゃないかなって思ってますよ。
だからこのままね、元気でいれるなら80までやってみたいなと思ってます。いや要するに、女房を食わせるという役割がありますから。それをバネにして、あとは子供達に迷惑かけないような貯金をしとけたらいいなと思ってますよ。