ここでご飯食べれたら「あぁ今月も生きてたんやな」って思う。
僕は60代半ばで目が見えなくなって、そっからもう18年以上が経つのかな。この人生は辛いよ、あかん。何にもできないし、見えないから。嫌でもずっとそれが付きまとうの。生きてても考えるのはこればっかりや…。 薬も飲んだよ、死ねるやつ、あの世いこう思てな。でも倒れた僕を見つけてくれた人がおって、助けてもろたんや。それからも何回か死の思て試みたけど 死ねずで、もう18年以上が経つ。目が見えたらどれだけええやろかって思いよったし、仕事がしたいなぁって考えよった。
でも最近になってやっと「生きててよかった」って言えるようになったんや。それがな、僕を助けてくれた人にこう言われたんよ。「あんたはね、まだ幸せよ。あんたよりもっと体の不自由な方が世の中にはいっぱいおるの。その人らから見たら あんたなんか全然ましやし、羨ましいくらいやねんで。だから体力のあるうちは しっかり生きや」って。だから今は生きれて喜んでる。人の手借りながらやけど、元気にも暮らしてる。でね、僕は路上で生活してるわけじゃないけど、月に1回ここの炊き出しへ1人で来て、カレー食べることを楽しみにしてるの。ここでご飯食べれたら「あぁ今月も生きてたんやな」って思うし、いい散歩やから。
もう死にたいなんて言わんよ。やから兄ちゃん、また来月会おうね、ここで。