自分の意見とか気持ちは持ってるのに、周りに素直に話すことができない。内向的で個を持てない自分、めっちゃ嫌いやったんです。
まぁ日本おるときからなんですけど、私、人に感情を話すんが苦手で。自分の中で押しとどめちゃうとこがあって、それで苦しむんです。けどこっちの人たちって、ミーティングが1週間に1回あるんですけど、しんどいことあったらすぐ言うんですよ。「昨日ルームメイトがこんなことしてきて、しんどすぎて泣いた」みたいな。ほんでチーム内で泣きよるんですよ。でもいや、すごいなって。それって私からしたらめちゃめちゃかっこいいことなんですよ。自分の思いを恥ずかしげもなく、みんなの前で言えるって。
でも『七人の侍』って映画を学校で観たことがあったんですけど、知ってます? そこに久蔵ってキャラクターがいて、その人はみんなに隠れたところで活躍してて、それをひけらかすことなく生きてるんですよ。で私はそれ見てかっこいいって思ったんです。でもそれってめっちゃ日本人的思考やな、とも思ったんです。あとたぶん私、今こういう感じやなって。なんか日々クラスで感情を発さなくても、自分の中で自分自身と戦うのが普通、みたいな。でもそれってしんどい。だからこそ、こっちの人が自分の感情を素直に発せることが羨ましい。
彼らは自分のことよく知ってるなーとも思います。人に自分のことも言えるし、自分の好きなこともはっきりしてるし。それが暮らしにも出てる。でなんでかなって私なりに考えると、こっちてめちゃ天気悪いんですね。11月から3月は真っ暗。晴れ渡る日が少なくて、グレースカイが広がってるんです。だから家におる日が多いんですよ。そしたら自分と向き合う時間も多いし、静かな空間であまり外に出ない。だから自分の励ました方とか感情のコントロールとかに向き合わざるを得ない。なんかそういう風に生きてきてるからこそ今の暮らしがあるんやろなー、ストレスの発散の仕方を自分で試してきたんやろなーって親近感がわいたんです。で私自身も彼らに偏見持ってたところがあったなぁと思って、やっと最近、心が打ち解け始めた、かな。
でそういう生活してると、日本人のいいとこも見えてきたんです。例えばプロジェクトをしてると、こっちの人は「無理や、イライラする」とかすぐ口にするんです。でもそういうときに心のケアをしてあげることができたというか。思いやり? と言いますか。日本人ってネガティブな感情も抱きがちやけど、繊細な心を持ってる。彼らはもう「ポジティブに生きよう」「ポジティブに生きよう」って、ネガティブな感情とあんまり向き合わないように見える。でも日本人はしんどくなっても頑張り続ける。底力、真面目とか。
けどそれって実は私が日本におるときに、一番嫌やなって思ってた部分でもあって。自分の意見とか気持ちは持ってるのに、周りに素直に話すことができない。内向的で個を持てない自分、めっちゃ嫌いやったんです。でもこっちに来て、自分だけじゃなくて相手のことも考えられるって自分の強みでもあるやんって思えたんですよ。
で 私明確な目標が最近できて、自分の暮らしを好きって言える社会を作りたいって思うんです。たまたまクリスマスにこっちのおうちに呼ばれて、そこでNetflixを一緒に観てたんです。でそんときに、「日本人って内向的でシャイなとこあるから、こういう映画とか映像で日本人の思いとか生活知れるのってめっちゃ楽しい」って言われて。確かに映画とかドラマやと、必然的にセリフがあるじゃないですか。やから日常の中で、私たちが思ってても言ってないことも、映画とか作品になると言ってることがあって。
だからもっと日本のこと知って、アニメとか、ラーメン、寿司だけじゃなくて、もっと発信できることあると思うんで、なんかそういうのしたいなって思ってます。